6年間獣医大学で勉強し、国家試験にも合格し、やっと夢だった獣医師に!
初めての動物病院勤務はいかがでしょうか。
中には失敗していつも怒られる、長時間重労働、当たり前のサービス残業で辛い・辞めたいと思われている獣医師さんがいるのではないでしょうか。
私も新卒で入社した動物病院はいわゆるブラックで、言い方のきつい人が多かったり、1日13時間の勤務や残業代の不払いは当たり前なところでした。
当時は毎日辞めたいと思いながら勤務していましたよ…
勤務環境が整っているといえる動物病院は少ないのが現状だと思います。なぜ今自分は辛いと思うのか、そしてその対処法を知ることで「辛い・辞めたい」という気持ちが軽くなるはずです。
入社時期がいちばんの繁忙期・労働環境が悪い
診察に早く出される/出してもらえない・社会人としてのマナーを知らない
辛くて辞めたいと思ったら、自分のマインドを変えてみる・他の病院の実態を知る、転職を考える
動物病院を辞めたくなるのはなぜだろう
新卒の獣医師が動物病院を辞めたくなる理由として次の4つがあげられます。
- 入社時期が動物病院でいちばんの繁忙期である
- 労働環境が悪い
- 診察に出されるのが早すぎる・もしくは診察に出してもらえない
- 社会人としてのマナーを習得できていない
入社時期が動物病院でいちばんの繁忙期
入社する4月は狂犬病ワクチン&フィラリア予防シーズンが始まるタイミング。1年で1番の繁忙期です。
その時期に新人が入ってくるため、「仕事がわからない新人」と「忙しい先輩」の意思疎通がうまくいきません。
・仕事頼まれたけど、やり方わからないな
・先輩に聞きたいけど忙しそうだなあ
・この前聞いたら、キツイ言い方されたしなあ
・仕事教えたいけど、忙しくてそれどころじゃないよ
・忙しいとついついキツく言ってしまうんだ
新人は採血時に用意するもの、検査の回し方、外注用紙の記入、備品の配置、動物の保定、採血方法など、最初に覚えることは山ほどあります。わからないことがあって当然、ミスすることもあるのが新人です。そう思っている先輩も、忙しすぎるとついキツくなってしまう傾向にあります。
理不尽にキツく言われることで「嫌だなあ」と感じ、それが募ると「辛い・辞めたい」につながってしまうんです。
労働環境が悪い
動物病院の労働環境が悪くなる要因はたくさんあるのですが、代表例をあげると以下のとおりです。
- 朝礼前に入院当番で早く出勤する必要がある
- 受付時間外でも急患は対応
- 長引く手術により昼休みは30分(ひどいと10分程度)
- 定時で帰れることはほとんどない
- 夜オペが入ると帰るのは日をまたぐ
- サービス残業である
- 新人は雑用を任せられる
こういった環境に身をおくと、肉体的にはもちろんのこと精神的にもしんどくなってしまいます。
診察に出されるのが早すぎる、診察に出してもらえない
入社して早々に診察に出される病院の場合、診察時に先輩獣医師からのフォローがある場合はまだ良いのですが、ひどいと何のフォローもなく独り立ちさせられます。そんな中、飼い主からの質問に答えられなかったり採血を失敗してしまうなどミスが続いてしまうと、辛いと感じてしまうのは当然です。
一方で全く診察に出してもらえない病院もあります。周りの同期は診察し始めているのに自分は診察させてもらえないとなると、不満や焦りから病院を変えようかなと思ってしまうでしょう。
社会人としてのマナーを習得できていない
動物病院に限ったことではないですが、新社会人としてまだまだ未熟なうちは社会人としてのマナーを習得できていません。
飼い主さんへの対応や電話での応対など、研修として教えてくれる病院もあれば、教えてもらえず見て学ぶ病院もあるでしょう。
経験が浅いうちはどう対応したら良いかわからないことも多いと思います。これだけで辞めたいと思うことはあまりないと思いますが、前述した要因に重なると辛くなってしまうでしょう。
辛くて辞めたいと思った時の対処法
新卒の獣医さんはとくに辛くて辞めたいと思うことが多いかと思います。そんな時は以下の方法を検討してみてください。
- 自分のマインドを変えてみる
- 他の動物病院の実態を知る
- 転職を考える
自分のマインドを変えてみる
辛い・辞めたいというネガティブ思考になっているときは、全てをマイナスに考えている傾向にあります。
周りの友達は頑張って働いているのに、なぜ自分はこんなに弱いんだろう。ミスばっかりする自分が嫌になる…
うちの病院って悪いところしかない…
こんなふうに思っている方は、まずマインドを変えてみましょう!
- 新卒はわからないことがあって当たり前!できないのは自分だけではない
:できない自分が嫌になっている人は、こんなふうにマインドを置き換えてみましょう。 - 人間誰しも間違えることはある、同じ間違いをしないように気をつければOK
:院長でさえ間違えることはあります。いろんなミスが重なると落ち込んでしまう気持ちもわかりますが、過去は悔やんでも変わりません。同じミスをしないように気をつければ良いだけです。前を向きましょう。 - いつもキツく言ってくる先輩は、感情コントロールができない認定
:人の性格はよほどのことがない限り変わりません。理不尽にキツく言う先輩は一生その性格ですので、上手く流しちゃいましょう。気にしすぎないことです。 - その日、自分ができたことを1つ〜3つ思い出してみましょう
:今日は暴れる犬の保定を上手くできた、採血がうまくいった、飼い主さんと良いコミュニケーションが取れたなど、何でも良いです。1日を振り返り、頑張った自分を褒めてあげましょう。 - 仕事に行きたくない日はお金をもらうためと思って出勤する
:仕事が大好き!と思って働いている人は少数で、大体の人は仕事嫌だなあと思いながら働いているのが現実です。働いてお金をもらうため、そしてそのお金で私生活を充実させるためと思って割り切って出勤しましょう。 - 自分の病院の良い部分を探してみる
:どの病院にも良い面もあれば悪い面もあります。良い部分を探してみると良いでしょう。
私は仕事が辛かったとき、頑張った自分を褒めまくりました。ネガティブな考えは伝染しやすいので、なるべくポジティブに変換してあげるのがポイントです!
他の病院の実態を知る
新卒の獣医さんは、今の病院でしか働いたことがないため他の病院の実態がわからないと思います。
自分の置かれている現実を知るためには、他の病院の実態を知る必要があります。そうすることで動物病院で働くにあたって「ある程度許容しなければならないこと」と「許容してはいけないこと」の区別がつき、自分の置かれている現状を客観視することができます。
他の病院の実態を知るには
- 大学の友人や先輩に相談してみる
- SNSでの情報収集 これらが取り入れやすいでしょう
ある程度許容しなければならないこと
仕事をするうえで、自分と合わない人がいることは仕方ない
急患対応、イレギュラーなことは、命を扱う現場ならありえること
誰しも慣れるまでは大変だということ
許容してはいけないこと
ハラスメントを受けている
残業代の未払い
法定内の休憩時間を与えられない
これらは法律に違反する可能性があります。証拠をおさえておきましょう。
転職する
どんなに自分のマインドを変えても、病院自体の方針と合わなかったり、ハラスメントや過酷すぎる労働がある場合は転職を検討しましょう。
1年も経ってないのに転職なんて大丈夫かな…
また転職失敗したらどうしよう。
こう思う方もいらっしゃると思うんです。実際に私も転職するときは不安もありました。
でも大丈夫です!環境のいい動物病院も世の中にはたくさんありますし、転職は珍しいことではないので不安に思う必要はありません。ただ同じ間違いをしないで転職先を探す必要がありますので、どんな動物病院で働きたいのか(病院規模や勤務時間、病院の雰囲気、院長のタイプなど)見つめ直してみましょう。
転職する際は「自分でリサーチしつつ転職エージェントを利用する」がおすすめです。
まとめ
辛い・辞めたいといったマイナスの感情は仕事だけでなく私生活にも影響してしまうかもしれません。辛い時はマインドを変えてみましょう。どうしても辛い時は転職も一つの手です。転職は逃げではなく、自分の人生をいい方向に持っていくためのステップですよ。