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猫にワクチンは必要か?接種するべき理由や頻度、腎臓との関係を解説

猫ちゃんにワクチン接種はしていますか?

飼い主

そういえば最後にワクチン打ったのいつだっけ・・・

みゃーすけ

ずっと家にいるしワクチンは必要ないんじゃないかにゃ?

こう思われている方もいるかもしれません。ワクチンを接種することは「感染症を予防するため」にとても重要です。しかし正しい知識がないと飼い猫を命の危険に晒してしまうかもしれません。

この記事を読んでわかること
  • すべての猫に接種するべき3つの感染症に対するワクチン(3種)と、リスクがある環境にいる猫に接種が推奨されているワクチン(4種、5種、単体ワクチン)がある
  • 子猫のワクチンは6〜8週齢で1回目、2〜4週後に2回目、16週齢以降に3回目
  • 成猫のワクチンは低リスク環境で3年に一度、高リスク環境で1年に一度
  • ワクチンは体調の良い日に接種し、副作用に気をつける
  • 猫のワクチンは接種頻度が多いほど慢性腎臓病になる可能性がたかくなるという研究結果がある
目次

ワクチンにはどんなものがあるの?

ワクチンには混合ワクチン単体ワクチンがありますが、種類ごとに予防できる感染症が異なりますので、以下の表で説明します。

猫のワクチンの種類

3種4種5種単体
①猫ウイルス性鼻気管炎⚪︎⚪︎⚪︎
②猫カリシウイルス感染症⚪︎⚪︎⚪︎
③猫汎白血球減少症⚪︎⚪︎⚪︎
④猫クラミジア感染症⚪︎
⑤猫白血病ウイルス感染症⚪︎⚪︎⚪︎
⑥猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)⚪︎

①猫ウイルス性鼻気管炎
猫ヘルペスウイルスによる感染症で、いわゆる「猫風邪」です。発熱、鼻水、目やに、くしゃみなどが認められます。一度感染してしまうと体内で潜伏感染しつづけ、体の免疫が弱まった時などに再発します。

②猫カリシウイルス感染症
猫カリシウイルスによる感染症です。こちらも「猫風邪」です。鼻水、くしゃみ、咳などの症状に加えて、カリシウイルスに特徴的な「口内炎」が生じます。また急性の肺炎を起こすこともあります。症状が回復しても長期間ウイルスを排出し続けます。

③猫汎白血球減少症
猫パルボウイルスによる感染症です。食欲不振、嘔吐、下痢、発熱などの症状が認められます。また白血球が減少してしまうのも特徴の一つです。子猫では重症度が高く、亡くなってしまう可能性もあります。

④猫クラミジア感染症
クラミジアは細菌の一種です。こちらも「猫風邪」です。目やに、結膜炎、鼻水、くしゃみなどの症状が出ます。結膜炎が重度になると眼球癒着が起こってしまうこともあります。重症だと肺炎を引き起こすことも。

⑤猫白血病ウイルス感染症
ウイルスを持った猫と同じ食器を使ったりグルーミングするだけで容易に感染してしまいます。免疫力がしっかりしている猫であれば感染してもウイルスを排除できる場合があります。しかし生後間もない子猫が感染した場合は高確率で発症します。症状は様々です。ウイルスが持続感染すると、数ヶ月〜数年で免疫不全やリンパ腫、白血病が発症します。

⑥猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)
ウイルスに感染した猫とのケンカによる咬傷で感染します。感染した全ての猫がエイズを発症するわけではありません。発症せずに生涯をまっとうする猫もいます。しかし発症してしまうと免疫力が徐々に低下し、発熱、貧血、口内炎、リンパ腫などを認めます。

コアワクチンとノンコアワクチン

①〜③はコアワクチンに分類されます。コアワクチンとは世界的に重要とされている感染症に対するワクチンです。飼育環境に関わらず全ての猫に接種するべきとされています。

④〜⑥はノンコアワクチンに分類されます。ノンコアワクチンとは飼育環境やライフスタイルにより特定の感染症のリスクが生じる場合にのみ接種するワクチンです。不要であれば接種する必要はありません。

何種ワクチンを選べば良いの?

低リスクな猫(完全室内飼い・1匹もしくは少数)の場合は3種ワクチンで大丈夫でしょう。


完全室内飼いであっても、飼い主の衣類や靴などにウイルスが付着している場合もあります。いつどこでウイルスを持ち込むかわからないので、愛猫を病気から守るためにもワクチン接種は大切です。


高リスクな猫(多頭飼育・屋内外に出入りしている・他の猫と接触する機会がある)の場合は4種・5種ワクチン・も検討しましょう。

猫エイズは混合ワクチンには含まれていません。もし飼い猫のなかに「猫エイズ陽性」の子がいた場合は接種を検討します。しかし猫エイズはケンカによる咬傷がおもな感染経路ですので、猫同士がケンカをしない環境を作れる場合は接種をしないこともあります。判断は獣医師によりますので、かかりつけに相談してみましょう。

 完全室内飼いで、1匹しか飼わない人 → 3種ワクチン
 外に出る、他の猫と接触する可能性がある → 4種・5種・単体ワクチン

ワクチンの接種間隔

ワクチンの接種間隔については、動物病院によっても様々です。こちらに記載してあるワクチンネーションプログラムはあくまでも一例ですので、詳しくはかかりつけの獣医さんに聞いてみてくださいね。

子猫の場合

生まれたばかりの子猫は免疫機能が弱いので、母猫からもらった移行抗体によって体を守っています。この移行抗体の量は日が経つにつれて減っていきますし、個体によっても様々です。

移行抗体の量が多い時にワクチンを打ってしまうと、ワクチンの効果が減弱してしまいます。移行抗体の量が減ってきて免疫が弱まっているタイミングにワクチンを摂取し、免疫をつけることが目的です。

まず、移行抗体が減ってきて強いウイルスに負けてしまうであろうタイミングで一度接種します。これが大体生後6−8週齢です。幅があるのは前述した通り、移行抗体の量が個体によって様々であるからです。

その後、大体2~4週間後の12週齢で2回目の接種

ほとんどの個体で移行抗体の量が十分に低下する16週齢以降で3回目の接種を行います。

成猫の場合

低リスクな猫(完全室内飼い・1匹もしくは少数)は3年以上の間隔で接種
高リスクな猫(多頭飼育・屋内外に出入りしている・他の猫と接触する機会がある)は毎年の接種が推奨されます。

ワクチン接種歴が不明の成猫を引き取った場合は、適切な免疫反応を得るためにワクチンを2回(2−4週間隔)接種すると良いでしょう。

ワクチン前後の注意点

体調の良い日、午前中に接種しよう

ワクチンを打つ日は体調の良い日を選びましょう。
ワクチンによる副作用が出る可能性があるので、なるべく午前中の接種が望ましいです。
遅い時間帯に接種すると副作用が出た時にかかりつけの病院が閉まっていては対応ができません。
夜間救急の病院に行かなければならず、できる処置も限られている可能性があります。

安静に過ごそう、副作用をチェックしよう

ワクチン接種後は激しい運動はせずに安静に過ごしましょう。
ワクチンの副作用として、発熱、ぐったりする、顔が腫れるなどの症状が出る場合があります。接種直後〜数時間で見られることが多いですので、いつもと様子が違う場合は動物病院に連絡しましょう。

ワクチンを打つと腎臓が悪くなる?

猫にワクチンを接種すると、腎臓が悪くなるという話を耳にしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。なぜこう言われているのでしょうか?

猫のワクチンを製造する際に、ウイルス培養のために猫の腎臓由来の細胞株(CRFK細胞)が用いられることがあります。このCRFK細胞培養液を接種することで、この細胞に対する抗体が作られ、自分の腎臓細胞も攻撃してしまうからなんです。

実際に、ワクチン未接種・低頻度接種(3年以上)・高頻度接種(1−2年間隔)を比べると、接種頻度が高いほど慢性腎臓病(CKD)の発症率が高いという結果が出ています。CKD発症後の生存期間については接種頻度は関係なかったとも報告されています。

ワクチン接種とCKDの関連性については、まだ分かっていないことも多いです。今後の研究結果により接種頻度が見直される可能性もあります。ワクチン接種によるリスクとベネフィットを総合的に考える必要があるかと思います。


まとめ

いかがでしたでしょうか?愛猫を感染症から守るため、ワクチン接種は大切です。忘れずに接種しましょう。

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この記事を書いた人

・ブラック動物病院や結婚を機に2回転職し、臨床経験5年目
・妊娠出産を経て臨床に復帰
・現在は仕事と育児を両立しながら、ライター活動も行う
・5匹の猫と同居

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